2013年12月14日土曜日

Twitter4j でProcessing からつぶやく - その2

季節と同じように、心も乾燥して冷たくなる時期ですね。(あれ、ボクだけ?)
... ということで、前回に続きProcessing からツイートするプログラムの作成です。今回で完成させてしまいましょう。

  • setup() 関数の完成

以下の内容をsetup 関数に追加してください。{ から } の間に入れるということです。

size(300, 350);
setLayout(null);
TB = loadImage("*****");
TB_ = loadImage("*****");

inputLine = new TextArea("type your tweet");
inputLine.setBounds(45, 45, 200, 140);
add(inputLine);

前半では、プログラムを起動させた時のウィンドウサイズを指定したり、ツイートボタンの画像を読み込んだりしています。***** の部分には、画像ファイルの名前を入れてください。後半には、テキストボックスの生成とサイズの指定、キーボードからの文字入力を受け付けるようにするおまじないを書きます。

  • draw() 関数

draw 関数はその名のとおり、どんな描写をするかを指定する部分です。以下のように記述します。

void draw(){
 background(0);
 image(TB, 60, 245);
 if(mouseX > 60 && mouseX < 220 && mouseY > 245 && mouseY < 302){
  image(TB_, 60, 245);
 }
}

background で背景の色を指定しています。if ではマウスの位置を判定して、ボタンの位置と重なったときに色を変えたボタンの画像に置き換えるようにしています。

  • tweet() 関数

実際につぶやく処理を行う部分です。以下のように記述します。

void tweet(){
 try{
  Status status = twitter.updateStatus(iLine);
  System.out.println(status.getText());
 }
 catch(TwitterException te){
  System.out.println("Error: " + te.getMessage());
 }
}

twitter.updateStatus() メソッドでツイートできます。そのあと、println() でツイートをコンソールにも表示させます。catch() の部分には、try() で指定した処理がうまく実行できなかった、例外時の処理を書きます。

  • mouseClicked() 関数

お待たせしました。最後にマウスをクリックした時のイベントハンドラを書いていきましょう。

void mouseClicked(){
 iLine = inputLine.getText();
 if(mouseX > 60 && mouseX < 220 && mouseY > 245 && mouseY < 302){
  tweet();
 }
}

キーボードから入力した内容をString 型の文字列に置き換えます。if() でクリックされた位置を判定し、ボタンの上であればtweet() 関数を呼び出して、コメントを投稿します。

  • すべてのコード

import twitter4j.conf.*;
import twitter4j.*;
import twitter4j.auth.*;
import twitter4j.api.*;
import java.util.*;

import java.awt.*;
import javax.swing.*;

PImage TB, TB_;
Twitter twitter;
TextArea inputLine;
String iLine;

void setup(){
 size(300, 350);
 setLayout(null);
 TB = loadImage("*****");
 TB_ = loadImage("*****");

 ConfigurationBuilder cb = new ConfigurationBuilder();
 cb.setOAuthConsumerKey("*****");
 cb.setOAuthConsumerSecret("*****");
 cb.setOAuthAccessToken("*****");
 cb.setOAuthAccessTokenSecret("*****");

 TwitterFactory tf = new TwitterFactory(cb.build());
 twitter = tf.getInstance();

 inputLine = new TextArea("type your tweet");
 inputLine.setBounds(45, 45, 200, 140);
 add(inputLine);
}

void draw(){
 background(0);
 image(TB, 60, 245);
 if(mouseX > 60 && mouseX < 220 && mouseY > 245 && mouseY < 302){
  image(TB_, 60, 245);
 }
}

void tweet(){
 try{
  Status status = twitter.updateStatus(iLine);
  System.out.println(status.getText());
 }
 catch(TwitterException te){
  System.out.println("Error: " + te.getMessage());
 }
}

void mouseClicked(){
 iLine = inputLine.getText();
 if(mouseX > 60 && mouseX < 220 && mouseY > 245 && mouseY < 302){
  tweet();
 }
}

一部、順番を入れ替えていますが、これでProcessing からつぶやくことができると思います。参考にさせていただいたページは下にあります。

  1. Codasign
  2. Hello API
  3. yoppa.org

2013年12月11日水曜日

Twitter4j でProcessing からつぶやく - その1


気がつけば12月。就活もスタートしましたが、ボクは意識が低いので今回もProcessing 遊びのログを書いていきます。非公式ライブラリであるTwitter4j を使ってProcessing からツイートしてみるプログラムを、今日から2回に分けて作っていきますよ。(記事を分割して投稿数を稼ぐという、ちょこざいな方法を会得したようだ。)

  • 準備



まずは準備。Twitter4j for Processing のページからライブラリをダウンロードします。そして展開したjar ファイルをsketchbook\プロジェクト名\code\ に移動しましょう。初期状態ではcode ディレクトリがないので、自分で作ってくださいね。


次にTwitterのDeveloperページで新規アプリの登録を行って、"Consumer key", "Consumer secret", "Access token", "Access token secret" を取得してください。SettingsタブにあるApplication Type では、Read and Write を選択しておきましょう。Application Details にあるWebsite はアプリを紹介するページのURLで、何でもOKです。ローカルで動かすだけならhttp://127.0.0.1/ と入力しましょう。


また今回は、それっぽい雰囲気を出すためにツイートボタンに画像ファイルを使用します。カーソルを合わせたときボタンの色が変わるように、2種類のものを作成してsketchbook\プロジェクト名\data\ に移動します。このdata ディレクトリも自分で作成します。GIMP などを使って、好きなボタンを作ってみましょう。

  • import と変数の宣言

ではいよいよ、実際にコードを書いていきましょう。はじめは以下のように書きます。

import twitter4j.conf.*;
import twitter4j.*;
import twitter4j.auth.*;
import twitter4j.api.*;
import java.util.*;

import java.awt.*;
import javax.swing.*;

これは「ライブラリを読み込んでね」という命令です。最後のjava.util パッケージは、今回は不要ですが一応加えておきます。awt, swing パッケージはつぶやきを入力するテキストボックスの生成に使います。

Twitter twitter;
String iLine;
TextArea inputLine;
PImage TB, TB_;

ほかにも宣言しなければいけません。iLine は入力した文字列を格納する変数、PImage はProcessing で画像ファイルを取り扱うときの型です。プログラミングがはじめてという人も、すぐに理解する必要はありません。そのまま書いてくださいね。

  • setup 関数

変数の宣言をしたあとに、以下の内容を書いていきます。

void setup(){
 ConfigurationBuilder cb = new ConfigurationBuilder();


 cb.setOAuthConsumerKey("*****");
 cb.setOAuthConsumerSecret("*****");
 cb.setOAuthAccessToken("*****");
 cb.setOAuthAccessTokenSecret("*****");


 TwitterFactory tr = new TwitterFactory(cd.build());
 twitter = tf.getInstance();
}

{ から } までで、1つのまとまりになります。これはプログラムを動かすとき、はじめに一度だけ行われる初期化の作業です。ここにおまじないを書いていきます。「このプログラムからのツイートを許可します」という権限を与える作業だと思ってください。***** の部分にはDeveloperページで取得したキーを入力していきます。

ここまでの作業をまとめると、以下のようになります。

import twitter4j.conf.*;
import twitter4j.*;
import twitter4j.auth.*;
import twitter4j.api.*;
import java.util.*;

import java.awt.*;
import javax.swing.*;


Twitter twitter;
String iLine;
TextArea inputLine;
PImage TB, TB_;


void setup(){
 ConfigurationBuilder cb = new ConfigurationBuilder();


 cb.setOAuthConsumerKey("*****");
 cb.setOAuthConsumerSecret("*****");
 cb.setOAuthAccessToken("*****");
 cb.setOAuthAccessTokenSecret("*****");


 TwitterFactory tf = new TwitterFactory(cd.build());
 twitter = tf.getInstance();
}

これだけではまだ動かないので、次回からちゃんと肉付けをしていきます。参考にさせていただいたページは下にあります。ではでは。
  1. Codasign
  2. Hello API

2013年10月10日木曜日

ウェブページをKindleに転送するChrome拡張 Push to Kindle


やばい、とくに忙しくなかったのに先月は更新を怠ってしまった。ということで、なにか書こうと思ったけど、近ごろは面白いこともめっきりなので、ライフハッカーの劣化版みたいなエントリで間をもたせます。ズバリ、気になるページをKindleに送って、後からじっくり読みたいというときに重宝するChromeの拡張機能の紹介です。



ふつうにChrome Web Storeの拡張でpush to kindleと検索すれば入手できます。これを追加するとツールバーの拡張に上のようなアイコンが加わっていますので、Kindleに転送したいページを開いて、こいつをクリックしてやります。



Kindleへの転送画面です。右側がプレビューになっています。転送先のアドレスをAmazonのアカウントサービスで確認します。トップページ>アカウントサービス>My Kindle>パーソナルドキュメント設定と進みましょう。



“Send-to-Kindle Eメールアドレスの設定”の一覧に転送先のアドレスがあります。見て分かるように、Kindleじゃなくてもリーダーのアプリが入っていれば何でも読むことができますので、送りたいデバイスに合ったアドレスを選んで、転送先に指定しましょう。



もうひとつ作業を。Amazonさんに転送の受取許可をしてもらわなくてはなりませんので、転送元のアドレス“kindle@fivefilters.org”を追加してあげましょう。ただ、常時この送信元のアドレスを承認済みにしておくと、知らない間に変なファイルとか送られる怖さが・・・。なので面倒ですが毎回承認元から削除した方が良いかもしれません。今のところそういった被害の報告はないみたいですけど、情弱という生き物はこういう脅威にいつもビクビクしながら生きているのですよ。だからね、念のため。

ここまでできたら、先ほどの転送画面にあった、“Send !”ボタンをクリックして転送作業は完了です。おつかれさまでした。Firefoxとか他のブラウザでも拡張が公開されてるみたいです。Kindleユーザは加えておいて損はないですよ~。

ちなみに“Push to Kindle 拡張”でググるとけっこう上に出てくるnanapi の記事も、ボクがパソコン初心者に向けて書いたものなので、もっと詳しい手順を知りたい人はこっちも参考にしていただければ幸いです。下にリンク貼っておきますね。では。

-クリップしたWebページをKindle Paperwhiteに送って読む方法

2013年8月5日月曜日

Ubuntu 13.04でProcessingの日本語を正しく表示させる

夏休みに入って時間ができたので、久々の更新です。今回はミーハーっぽく備忘録的なこと書きますよ。

最近、Linuxも知っておこうと思い立って、余ってたモバイルノートにUbuntuを突っ込みました。で、日頃から遊んでいるProcessingも順調に整えられたのですが、いざ起動させてコードを保存しようとしたら…。



ドンッ!!日本語が文字化け。いや、化けてすらおらず、そもそも表示されてない。情弱なのでUTF-8じゃなきゃダメみたいな文字コードの話もよく分からない上に、Processingのメニューから設定変更をする方法も見つけられず、Google先生に助けを求めることとなりました。それで見つけたページがこちら。上手く調べれば、もっとちゃんとした情報があったかもしれませんが、とりえずこれを参考にしながら対応していくことにしました。

# cd /opt/processing-2.0b9/java/lib/fonts
# sudo mkdir fallback
# cd fallback

ここまでは、Processingのフォントのディレクトリ内にfallbackという新しいディレクトリを作って、そこに移動するだけの簡単なお仕事。先ほど示した参考ページにも記載されてるとおりですね。しかし4行目のコマンドはディレクトリが見つからないということでエラーが帰ってきます。まあ、ソース自体がUbuntu 12.04向けのものなので、当たり前ですがこのままではダメです。バージョンが違うため、いろんなファイルの配置場所も変更されているからですね。

ということで、日本語のttfファイルを探し求めてコンピュータ内を放浪していると…発見。どうやら13.04にはopentypeではなくtruetypeというディレクトリがあって、その直下に目的のブツが収められてるみたいです。(世代としてはopentypeのフォントの方が新かったような気もするけど、まあいいや)これらをfallbackの中にコピーして、おまじないを2行ほど付け加えると完成です。よって4行目からのコマンドは以下のようになります。

# cp /usr/share/fonts/truetype/*.ttf .
# sudo mkfontscale
# sudo mkfontdir




Processingを再起動させてみると…はい、できました!ちゃんと表示されてますね。一見落着です。

2013年4月20日土曜日

nanapi でウェブライター入門

 お小遣いがほしい。そんな安直な理由から、文章を書くことにやぶさかでないボクが、nanapi ワークスで、2ヶ月間Web記事を執筆してみました。そんなわけで、今回はちょっと指向を変えて、nanapi でライターをやってみた感想を書き留めます。

 まず結論から言うと、本格的なライターを目指している方にはあまり向かないと思います。「日常生活に役立つハウツー情報」というのがモットーのようで、かなり細かく記事の書き方のテンプレートが指定されています。もちろん、それは読んだ方がそのまま実践につなげられるようにするため。なのでパソコン関連の記事では、「プログラムの起動」みたいな簡単な操作だけでも、見出しとキャプチャ画面を1つずつ付けてあげないと、差し戻しになることがあります。その分、どこかの誰かが、自分の書いた記事をお気に入り登録してくれるとすごく嬉しいんですけどね。

 記事の単価は、資格や検定などの専門性の高いものなら1000円くらいですが、多くのものは300円以下です。文章を書いてお金をもらうサービスに参加するのは初めてなので、相場はよくわかりません。しかしコツをつかんで、毎日2つほど投稿できるようになれば、毎月2万円弱はらえる計算に。在宅でノルマや時間制限も無しという条件を考えると、なかなか良い方なんじゃないかとも思いますね。

 加えて投稿した記事の採用率もかなり高いのもポイントでしょう。内容が相当ひどいとか、途中で採用記事が募集件数に達してしまった場合は仕方ありませんが、投稿して、編集部からの指摘どおりの修正を行えばほぼ確実に採用しえもらえます。ボクも今までで投稿した43件中、不採用になったのは、たったの1件だけです。確率にして97%以上。これはお手軽ですね。

 一方で添付する画像については注意点も。撮影した写真を、高機能な編集ソフトを使って、少しクオリティの高いものに仕上げてしまうと、「これは本当にあなたが作成したものですか?」と疑いをかけられることがあります。完全にオリジナルである旨を伝えても、承認されるまでには1週間ほどかかることも。なるほど、グレーなものを採用するよりしばらく様子を見て、その間に完全に白な投稿があればそちらを採用するといった魂胆かと・・・思いを巡らさずにはいられませんでした。(結局、採用していただいたんですけどね)また、足成などのフリーの画像素材を取り扱うサイトも重宝しています。

 まあ、春休みが終わって学校が始まると、なかなか執筆に時間を割くことができないですが、自由気ままに毎月の光熱費くらいはペイできたらいいんじゃないでしょうか。ではでは、また次回。

2013年2月17日日曜日

「ソードアート・オンライン」にリアリティは在るか

アニメの放送は終わってしまいましたが、いまだに高い支持を得ている「ソードアート・オンライン」(以下、SAO)。今回はその人気の構造についてのお話。年末のサークルでのフリートークイベントでも話したネタですし、ボク自身は原作を読んでないので、かなり一人相撲のような部分もあると思いますが、そこはスルーしてください。

まあ正直なところ、第一印象としてはかなりご都合主義的な部分が強い。しかしそこで、「そんな状況ありえへんわ」と一蹴することは容易なので、もうちょっと(我慢して)どこが面白いのか真剣に考えてみました。すると、あながち「ありえへん」こともない。つまり結構リアリティがある・・・という結論に。一体どういうことなのか。

キーワードになったのは「仮想的有能感」です。これは速水敏彦先生が、2006年に出された『他人を見下す若者たち』の中で提唱されたもの。今の若い人は自尊心なんかを守るために、根拠もなく相手を下に見て自分の優位性を確認する傾向があるということですね。そういった深層心理が、SAOではキャラクターの設定に投影されることで、忠実に描き込まれていると感じるんです。

次に物語の構造に注目。SAOではこれまでの作品よりも、一つ多い次元の超越があるように思われます。普通なら現実の視聴者と、アニメの仮想世界という2つですが、SAOでは後者の中でもさらに日常とサイバー空間の乖離があるんですね。つまり、視聴者・日常のキャラ・サイバー空間内のキャラ、という3つのレイヤーがある。じゃあ、この構造と仮想的有能感によって、どのようなリアリティが描かれているのかって話です。

考える起点は、やっぱりこの作品のご都合主義。サイバー空間での主人公、キリトの活躍はまさに仮想的有能感を絵に描いたようなもでしょう。彼は数多くのプレイヤーの中でも、抜きん出たレベルに達している上に、結婚や娘をもつ経験までしてしまう。しかし大事なのは、彼がそうなるために、何か具体的な努力をしたわけではないということでしょう。彼がベータテスターであっただけで、超常能力はあたかも天から降ってきたもののようです。これはまさに、努力をせずに結果を求め、他人に対する優位性を何とかして得ようとする仮想的有能感を、キリトが体現していると捉えることができます。

・・・で、このお話にむしろリアリティがあるとボクが考える理由。それは先の努力なきご都合主義がサイバー空間で展開されているからです。要するに、「まあ、こんなことは現実ではあり得ないけどね」という前置きを、作品の中で行っているということ。日常に戻ったキリトには、そんな超常的な能力はありませんという、仮想と現実の住み分けがちゃんとなされているんですね。そういう意味では、単純にシンプルなファンタジー(例えば「ワンピース」みたいな)を眺めているより、こちらの「ご都合主義だけど住み分けされてる物語」の方が、まだリアリティがあると思います。

そんな仮想的有能感に基づいた理想と、それが実現し得ない平常の世界が完結して、アニメというよりマクロな意味での仮想を形成している。そしてそれを視聴することで、私たちは仮想的有能感の投影とキャラへの同一化を図る構造があるんじゃないでしょうか。「アクセル・ワールド」でもそうでしたが、このような「仮想空間に理想投影をするキャラクターに理想を投影する私たち」という構造が、川原礫氏の作品には組み込まれているようです。それが若者たちの潜在的な仮想的有能感の琴線に触れたことが、氏の作品のヒットに繋がったのかもしれませんね。


2013年2月14日木曜日

日本の音楽市場


ようやく課題が終わって時間がとれたので更新。今回は音楽産業について考えたことを書き留めようと思います。

何かと弱ってきてると言われる音楽産業。でも2012年は生産額ベースで、実に14年ぶりに前年比プラス、09年以来の3000億円到達だったようです。しかし世界の市場と比べた時にふと気づくのは、日本では依然として「パッケージ」での流通が大きなボリュームを保っているということ。CDのマーケットとしてはアメリカを抜いて世界一なんですね。その分あまり進展を見せていないのが配信事業で、今はSpotifyはいつ日本に来るのかという話がアツくなっています。
12年の音楽ソフト生産額、14年ぶり増 AKB効果など
Spotifyは音楽業界の救い主? ユニバーサル幹部が語るデジタル戦略

そこで登場するデジタル戦略で気になるのは違法コンテンツ。ダウンロード刑罰化も記憶に新しい。しかし個人的には、これはかなり安直な法改正だったと思うんです。業界側の言い分は、複製が勝手にネットで共有されて売上が食われるというものでしょう。確かにそれもあります。でもここでは、無料だからこそ幅広くコンテンツが認知されるようになった、という見えないマーケティング効果が鑑みられていない。音楽がパッケージとしてだけでなく、商品として多様な側面を持つようになっている今日の市場では、この見えないマーケティングの効果を切り捨てることは致命的となるんじゃないでしょうか。
YouTubeやニコ動が音楽購入に好影響、一方で買い控え要因にも~レコ協調査

最近の例でいうと、きゃりーぱみゅぱみゅや江南スタイルといった歌手がミュージックビデオをYouTubeなどに投稿することで、世界的に知名度を高めたことがあるでしょう。無料でコンテンツを視聴できるからこそ、ファンや将来的なお客さんが生まれる可能性も出てくるのです。違法行為を恐れて自分の楽曲を大事に大事にしまっておくようでは、この試みは不可能です。一寸先の、確実だけど小さな売上より、これから大きな売上を生むであろう市場を育てていくための投資として、部分的な「許容・寛容さ」も必要なんじゃないかと思います。

実際にライブは顧客単価がパッケージより高いですが、成長傾向にありますね。詰まるところ音楽とは言っても、マス市場ではそれ自体が商品として訴求力を持たなくなってきているとも考えられます。つまり1500円のシングルを買うより、iTunesで105円のダウンロードを利用するという思考。逆に消費対象が単なるバイナリデータになってしまうことに多くの人が虚無感を覚えるようになったからこそ、ベンヤミンの言う「アウラ」を求めて、みんながライブに走るようになったのかもしれません。・・・なんて知ったかぶりをしましたが、『複製技術時代の芸術作品』をちゃんと読んだわけではないです(おい)。
1600億円-音楽業界でまさかの「逆転現象」発生中

話を元に戻します。要するにパッケージ偏重の流通とそれを保護するような厳しすぎる法律の制定は、ちょっと時代錯誤なんじゃないのかな、といくつかの記事を読んで思ったということ。複製できないライブという「経験」を商品にする、あるいは佐々木俊尚氏が言う「アンビエント化」を実現する包括的なサービスを商品にするといったように、もっと収益の多角化を真剣に考えるべきかと。その一環として既に述べた、部分的な「許容・寛容さ」をむしろ取り入れていく、チャレンジングな姿勢を見せてほしいものです。そうすれば日本の音楽だって、まだまだ先は明るいと思いますね。

2013年1月10日木曜日

今のアニメ好況を考える


アニメが元気だった昨年をふまえて、今のアニメ産業をテーマに雑談を。

劇場アニメが好調だったのは言うまでもなく、2006年のピークから減少を続けていたTV放映数も、5年ぶりに増加へ転じました。またトヨタとSTUDIO4℃のコラボによるオリジナル作品も制作され、アニメ産業の大きな可能性を垣間見ることもできましたね。このようなアニメ好況が世間では取り上げられていますが、今回はこれについて少し考えてみたいと思います。

アニメが元気になて嬉しいのは誰でしょうか?もちろんアニメの製作を関わっている様々な人であることは明確なのですが、それが日本全国で一様にいえるものなのでしょうか?

まずアニメ製作の流れ。基本知識ですね。スポンサーや放送局などいろんなプレイヤーが参加していることがわかりますが、資金の配分が川上と川下で大きな差があります。下請け構造が問題視されているのは今に始まったことではないですけど、結局これが改善されなければ少なくとも「制作するプレイヤー」はアニメ好況の恩恵を受けることが難しい。この点が一つ。





そして制作会社の東京への一極集中。実に国内のアニメ制作会社の9割以上が東京にあるのです。日頃から普通にアニメを楽しんでいる分には、特に関心の向かない事柄かもしれませんね。P.A.WORKSや京都アニメーションはとっても元気です。しかしこれでは、せっかくのアニメ好況でも仕事が降りてくるのが、東京に限定されてしまう。つまり地方がただのコンテンツの消費地として、取り残される可能性が出てくるんですね。これがもう一つの点。




以上のような問題から、私たちはアニメ好況を諸手を挙げて喜ぶことはできないんじゃないか。地方で「産業としてのアニメ」を育成する試みが見られるのも、こういった表にはなかなか現れてこない現状をふまえてのことだと考えています。昨年12月に研究調査のために宮城県を訪れ、県庁内にある情報産業振興室でお話を伺ったところ、やはり地域から発信する産業としてのアニメを育てていきたいとのことでした。その一環として、宮城・仙台アニメーショングランプリのようなイベントも実施しているようです。

宮城県ツアーの報告は横浜国立大学の人間文化課程HPで詳しく行います。アップされたらリンクを貼りますのでしばらくお待ちください。

このようにアニメによって生み出されるお金の流れが、広告代理店や放送局、さらには制作会社も含めた在京のプレイヤーの中で完結してしまってるのでは、アニメ好況はとても限定的なものになってしまうでしょう。日本が「アニメ文化」を世界に向けて発信していくためには、こういった構造的な問題も克服して、オールジャパンでコンテンツを生み出せるアニメ産業にしていくことも必要なのかもしれないですね。

2013年1月6日日曜日

ブログ、はじめました。

はじめまして、そして明けましておめでとうございます。 新年、何か新しいことを始めようと思ってブログに挑戦です。

タイトルの「くるみ・らいふ」は、「知性」を花言葉にもっているクルミから採りました。物事をしっかり考えることができる人間になれるように毎日を過ごしていきたい。そんな理想を込めています。「意識が高い学生w」みたいな人も最近は話題になってるし、そういう浅い学生も如何なものかなということで。

そんなスタンスでこれから始めていきたいと思っています。今年は厄年で、新年早くも盗難被害に遭ってデジカメを失くすという安定したクズっぷりを発揮して先が思いやられますが、これからどうぞよろしくです。